橈骨神経麻痺というのは、手指や手首を動かす役割のある、橈骨神経に障害が起こり、腕が動かなくなる状態です。
原因
この橈骨神経は上腕(二の腕)から前腕、さらには指先にまで広く伸びている神経です。
このように伸びている橈骨神経のうち二の腕に、長い間圧迫するなどの負荷がかかることで、神経が麻痺してしまいます。
寝ているときやけがによる発症
教科書的には、腕枕のように、ずっと二の腕に負荷をかけていると、腕や手、指がしびれて動かないというのが有名です。
しかし実臨床では腕枕による圧迫は多くはない印象で、机に突っ伏して居眠りをしてしまったり、硬いフローリングで寝ているときに圧迫をうけたりして発症するケースを散見します。
意識的に負荷をかけたことを記憶していない状況、つまり、寝ている間に腕に負担がかかり、朝起きたら腕が麻痺していたということが多い疾患です。
その他、骨折などのケガや筋肉の酷使などでも、橈骨神経が障害されてしまう場合があるので注意が必要です。
症状
橈骨神経麻痺の主な症状は、手がしびれて手首を手の甲側に反らせない(背屈制限)症状が典型的です。
それにより、ものをつかめない・握れないなどの症状が現れます。
また、橈骨神経のどの部位に障害が起きているかによっては、しびれなどの感覚障害はないのに、指先だけが伸ばせないといった症状も出ます。
下垂手(かすいしゅ)
橈骨神経麻痺では、親指、人差し指、中指の感覚に障害が起こり、手首と指が垂れ下がった状態になることがあります。
これをその見た目から、下垂手と呼んでいます。
治療
ハッキリとしたケガや骨折がきっかけになっている場合には、まずそのケガを治療していきます。中には手術が必要な場合もあります。
神経の圧迫が原因であれば、保存療法を行います。
手関節を背屈する装具(コックアップスプリント)を使用し治療します。
橈骨神経麻痺では時間はかかれども多くは2~3か月以内に自然軽快します。
その間の背屈制限をこの装具で助けてあげ手首や手指を使いやすいようにしつつ、リハビリテーションで関節が固まることを予防し、筋力低下予防、また弱くなってしまった筋力の強化をして治療していきます。
内服は末梢神経障害の改善薬のビタミンB12が中心となります。
急な腕のしびれや力が入らない、物が握れないなどでお悩みの際には、一度受診して原因を調べてもらうようにしましょう。